「ガラスの盾」担当部分
ぽにょっ会で翻訳している、キム・ジュンヒョク短編集「楽器たちの図書館」。
今回は5番目の「ガラスの盾」です。
私の担当部分は、169ページ19行目から175ページ10行目。ネット新聞のインタビュー場面でした。
地下鉄の中で、プラスチックの剣と盾でチャンバラごっこをする主人公とM。インタビューに、冗談でもっともらしく答える彼ら。なかなか面白いところです。
以下、悩んだところ、気になったところです。
○171、172ページ 췌췌엥, 췌엥
チャンバラの音ですが、剣を戦わせる音って、どんな擬音になるのか・・・。
そのまま近いカタカナにすると、チェチェーン、チェーン、でしょうが、何か、剣の音って感じがしません゚(´O`)°
もうちょっと硬い感じかな、と思い、カーン、にしたのですが、これもしっくりきません。
おもちゃの音だから、チェーン、でもよかったかな、と後から思いました。
○173ページ7行目
ブルース・ナウマンって初めて聞く名前なので、調べたところ、有名な現代アーティストだそうですね。
The True Artist Helps the World by Revealing Mystic Truths - 「真のアーティストは、神秘的な真実をあかすことで世界を救う」と書かれたネオンサイン(1967年)は、代表作だそうです。
신비한 진실 と、신비하다(神秘だ)という形容詞があるんですね。日本語だと「神秘的な」、と~的をつけますよね。
日本語では「~的」をつけない形容詞・形容動詞が、韓国語では~적 になることが多く、たとえば、정상적[正常的](正常だ)とか。「マニュアル・ジェネレーション」に出てきましたね。
でも、これは反対。こんなこともあるんだ~、と面白いです。
○173ページ 下から4行目
워낙 실패를 자주 하다보니 거기에서 실이 풀려나온 것 같다
「もともと失敗をしょっちゅうしていたら、そこから糸がほどけ出てきたようだ」直訳です。
いまいち、言いたいことがわかりません。冗談で答えた、とあるので、なんか引っ掛けの冗談なのでしょうが、どういうことか・・・。
○174ページ4、6行目 이벤트
「イベント」ですが、日本語でいう「イベント」は大がかりな催しみたいなイメージです。冗談交じりの会話なので、
あえて使っているのかもしれませんが、それにしても「イベント」のままでは、なんかおかしい感じ・・・ε-( ̄ヘ ̄)┌
「パフォーマンス」のほうがしっくりくる感じがするのですが、別の箇所で 퍼포먼스 という単語も使っているので、ここは違うのか、と。
こんな外来語も、それぞれ、日本語、韓国語の中で微妙に意味や使われ方が変化していて、ずれが生じていることがあるので、案外難しいです。
○174ページ12行目
제대로 된 사람을 뽑을 생각이라면 5분은 기다릴 줄 알아야 되는데 말이죠.
直訳「ちゃんとした人を選ぶ考えなら5分は待てなくてはいけないのに、ですよ」 → 「まともな人を採用しようとするなら、5分くらいは待てなくてどうするって話ですよ」
どや訳、てほどでもないですが、最後の 말이죠 のニュアンスをどう訳出するか悩んで、こんなふうにしてみました。どうでしょうか?
○全体によく出てくる単語
실, 밧줄, 끈 。 それぞれ代表的な訳は、糸、綱、紐、ですが、これもそれぞれの日本語が指すものと、韓国語が指すものが、微妙にずれているのかも、と思いました。
私は「糸」というと、縫い物に使う細~いものを思い浮かべます。面接官の前でほどいてみせたり、地下鉄の中で床を這わせたり、という場面を考えると、「糸」では細すぎてよく見えないのでは?と思います。
かさがたくさんある、という箇所もあったので、私のイメージは「毛糸」でした。
「毛糸」は 털실 ですが、もしかして 毛糸を単に 실 とも言うのか。。。調べてみたけど、よくわかりませんでした。
彼らが持っていた 실 の太さ、材質が気になります。
みなさんは、どんな「糸」を思い浮かべていたのでしょうか?
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