翻訳の基本
宮脇孝雄「翻訳の基本―原文どおりに日本語に」研究社出版
帯のうたい文句
『〈原著者が書いたとおりに訳す〉この、当然のことが、いかに難しいか―翻訳のベテランが、数多くの実例を挙げながら、〈なぜ間違えてしまうのか〉〈どうすれば間違いを減らせるのか〉を指導します。
著者は、英米のミステリー小説などを数多く翻訳し、翻訳学校の講師も務める、プロ中のプロのようです。
第1章:翻訳家の基本姿勢、原則、文体について
第2章:要注意単語集
第3章:訳文を添削する
ぽにょっ会では、いちおう「翻訳」をしましょう、ということで参加しています。が、そもそも「翻訳」とはどういうことか、きちんと学んだり、考えたりしていないことに気づき、とりあえず、我が町の図書館にある翻訳関係の本を探してみました。
当然、英語の翻訳についての本しかありません。英語のように構造が日本語とまったく異なる言語と、韓国語のように構造がそっくりな言語とでは、翻訳にあたっての問題や留意点は、おのずと違ってくるものと思います。それでも、外国語を日本語に移す、という行為には違いないので、何かしら参考になるのでは、と期待して、これを読んでみました。
第3章はそれなりに、参考になりました。
様々な訳文を挙げて、どこが問題か、どうすれば改善されるか、を具体的に書いています。
つまるところ、要はすべて、日本語の問題。
・前後の脈絡がおかしい
・主語が誰か、修飾語がどこまでかかるのか、等が曖昧
・句読点の打ち方が適切でない
・日本語の慣用句を誤解している
・「の」が連なる、多すぎ
・辞書にあるからと、実際にはほとんど使われない言葉を使う
・カタカナ語を多用
・いわゆる翻訳調
これらの問題点は、普通に日本語の文章を書く上で、いつでも留意すべきことです。とくに翻訳文に限ったことではないでしょう。
やはり、母語である日本語を正しく書き、表現するということが、いかに難しいか。。。
私は中高生のころ、翻訳の推理小説を愛読していた時期がありました。アガサ・クリスティ、エラリー・クィーンなどの創元推理文庫、ハヤカワミステリなどをよく読んでいました。アシモフやブラッドベリなどのSFも大好きで、考えてみれば、翻訳物ばかり読んでいたような気がします。
若いころに吸収したものは、ずっと残っているものでしょう。
ということは、私の日本語文章は、自分でも気づかないうちに、もしかして翻訳調になっているのでは…?と、不安になってきました。
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コメント
その「日本語の問題」のところ、ホント日本語で文章を書く上での基本に思えますね。
そう言えば、私もクリスティーもエラリー・クイーンもずいぶん読みました。クリスティーのものでは、推理ものよりも「春にして君を離れ」と言う本が一番好きです。
「翻訳調」と言うのをかえって前面に押し出している本も、ある意味存在可能なのかな?なんて思うこともあるのですが、いかがでしょう?
投稿: ハーちゃん | 2011年12月22日 (木) 18:06
村上春樹になっているかも!
投稿: たま | 2011年12月22日 (木) 23:07
>ハーちゃんさん
クリスティーは、推理もの以外もあるんですね。知りませんでした。
翻訳調をウリにした本も、存在可能でしょうね。面白いかも
投稿: ひがなお | 2011年12月25日 (日) 00:19
>たまさん
村上春樹も、若いころ翻訳物ばかり読んでいたんでしょうか?そうなら、私もハルキのような文章書けるかも?!
…ならいいですが...(=´Д`=)ゞ
投稿: ひがなお | 2011年12月25日 (日) 00:24
あまり難しく考えすぎずに楽しくやりましょう!と言いながら、だんだんに気になってきますね。
私が文章について学んだのは主に理系の論文と会議録なので、これは矛盾がなければOKというものでした。
だから文学的な表現は苦手です。
母国語だと文体や言葉遣いの違いが感覚でわかるけど、外国語をそこまで読みこなすのはたいへんでしょうね。
でも、だかこそ挑戦する意義もあるのかな
投稿: テラ | 2011年12月25日 (日) 21:30
>テラさん
気になると色々調べてみたい性分なので…(^-^;
小説など文芸作品の翻訳は、その外国語と母国語、両方の文学的感性とスキルを兼ね備えていて、初めて出来るものなんでしょうね。
まあでも、ぽにょっ会は、素人の真似事として考えすぎずにやりたいです( ^ω^)
投稿: ひがなお | 2011年12月26日 (月) 13:09
おひさ~。
日本語はほんとうに難しいです。私は英日翻訳ですけれど、英語では1単語でも、日本語ではそれに相当する言葉がないこともあり、でも、その言葉だけを長々と説明するわけにもいかず……と、ある程度の妥協も必要になりますね。
日本語を書く場合、自分では気づかない癖もあるので、プロの校正者にみてもらうと、とてもいいですよ。
私も校正の方に指摘されて、自分の書き方の傾向や悪い癖を知りました。
それから、自分が書いたものを音読するのがけっこう効果があります。するりと読めなければ、どこか妙な表現をしていたり、何かがおかしいということになります。
と、一応、偉そうに書いてみた(笑)
投稿: chilledstate | 2011年12月27日 (火) 12:16
>chilledstateさん
プロの翻訳家のお言葉、ありがとう!
なるほど、音読するといいのね~。自分で気づかずに多用している表現などの傾向や癖って、きっとありそうです。プロの校正者に見てもらうなんて機会はないから、まずは音読!してみるね。
字幕だと字数が厳しいから、ホントすごく大変そう。日本語を自由自在に操るって感じですね。
今更ながら、母語の奥深さを感じてます。
またアドバイスお願いしますね~( ^ω^ )
投稿: ひがなお | 2011年12月27日 (火) 15:23