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2011年12月16日 (金)

外国語上達法

この本を読みました。

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千野栄一著「外国語上達法」岩波新書

1985年、つまり26年前に書かれた本ですが、やはりそうなのか!と思わせることばかりで、大切なことは変わらないのだ、とあらためて思いました。 アマゾンのレビューでも高い評価です。

「語学は苦手」と称する著者が、英・独・仏・チェコ語などをモノにしていく課程で習得した外国語学習のコツを、わかりやすく語っています。
語学上達に必要なものは二つ――お金と時間。
覚えるのもたった二つ――語彙と文法.。この二つを覚えるために必要なものは、よい教科書・よい教師・よい辞書。

印象に残ったところ。
「ある外国語を習得したいという『欲望』が生まれてきたとき、まずその欲望がどしてもそうしたいという『衝動』にまで変わるのを待つのが第一の作戦。そしてその衝動により、まず何はともあれ、やみくもにに千の単語を覚えることが必要である。この千語は、その言語を学ぶための入門許可証のようなものであり、これを手にすれば助走成功。もしこの段階で失敗したときは、あきらめた方がよい。」
「理屈なしに千の単語を覚えるためのエネルギーとしては、どうしてもその言語をモノにしたいという衝動力を使い、そのエネルギーの燃え尽きる前に千語を突破することである。」

ここは、大いに頷いたところです。
私の周りにも、いわゆる韓流ファンで韓国語を習ってる、という方々がいますが、単語が覚えられない、時間がなくて(ドラマを見るのに忙しくて)勉強できない、と言って、ほんとに基本的な単語も知らない、ハングルの読み書きもあやふや、という方が結構います。
そういう人は、まさに助走に失敗したのではないでしょうか。
というより、『衝動』の強さが足りなかった、というべきでしょうか。
まあ、そもそも本気で習得したいと思って習っているのではなく、楽しみとして触れているだけ、ていうことかもしれませんが。

また、文法、学習書、教師、辞書、発音、会話、レアリア、についてそれぞれ具体的に良いモノを選ぶポイント、学習法を述べています。どれも、本当にそうそう!やっぱりそうなんだ、なるほど!と言いたくなる内容でした。

発音について
「学ぶ外国語の音声が日本語とどう違うのか、その違いはどこから来ているかを見極めて、その違いを自分で発音しわけてみないと、聞き取ることは困難である」
「その違いをはっきり意識して説明できる教師、音声学の知識がある教師につくとよい」

最後の項目『レアリア』とは、現実的な知識や情報、実物、ひいては、文化・歴史・習慣・風俗などを指すらしい。
言語を取り巻く状況、あるいは言語を支える実物の知識があってこそ、外国語を理解できる、ということ。
先日ぽにょっ会で訳した「ガラスの盾」の中にも、비키니옷장 ファンシーケース(たまさんに教えていただきました)ていう語が出てきました。これは単に服を収納するもの、てだけでなく、おそらく若くてお金がない彼らの暮らしを想像させる言葉なのではないでしょうか。 日本語でファンシーケースっていったらセピア色の感じがするように。。。

発音や会話については、今はインターネットで現地とリアルタイムに繋がる時代。 この本にあること以外の方法も当たり前になっています。
また、辞書もほとんど電子辞書。ネイバーなどネット辞書で俗語や流行語もさくさく検索できてしまします。これは26年前とは大きな違いでしょう。中にはちょっと古めかしいと思えるエピソードも登場します。

それでもなお、この本は外国語を学ぶ者にとって一読の価値があると思います。

何より、著者の日本語表現が素晴らしいです。
平易で読みやすく、ユーモアがあり、説得力があります。
やはり、何カ国語もモノにして、言語学を専門としているだけあって、言語感覚が磨かれているのでしょう。
外国語を学習することによって、母語も磨かれる。そのような学習をしていきたいです。


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コメント

呼ばれた気がしました^^

千野先生はチェコ語だけでなく、チェコの文化は世界で最高だ!と文化そのものにほれ込んでいた、という話を聞きました。
何度かお話を聞いたことがありますが、本当にエネルギーのみなぎる、よい意味でオタクっぽい人でした。

私も、韓国文化にほれ込んで、あんなオタクになりたいものです。(もちろんいい意味で)

投稿: たま | 2011年12月16日 (金) 16:08

衝動、ですか!
私の友人も「冬ソナ」に感化されて私と同じころに韓国語を始めたのですが、ちょっとつまづいたのか止めてしまい惜しいと思っています。
最初の千語! なるほど。
私はどうだったかなぁ...。最初のころはかなりがんばっていたかも?です。
たまさんの言う「おタク」。私、ある意味尊敬しますね(^^)。

投稿: ハーちゃん | 2011年12月16日 (金) 23:58

ひがなおさん、言語学関連の本、いろいろ読まれるんですねbook
ずっと昔、千野栄一さんの言語学についてのお話をお聞きする機会があって、
詳細は忘れてしまったのですが、内容が興味深かった、
その時の印象だけを思い出しましたcoldsweats01

投稿: ゆう | 2011年12月17日 (土) 00:37

>たまさん
千野栄一先生に直接お会いしたとは羨ましいです。
たまさんは外大生でいらっしゃるんですね。きっと、外大には素晴らしいオタク的先生がたくさんいらっしゃることでしょう。
千野先生のお人柄がしのばれる著書でした。チェコ語ってどんなのかな~、とのぞいてみたくなしました。

投稿: ひがなお | 2011年12月20日 (火) 12:45

>ハーちゃんさん
私は今振り返ると、韓国語始めたころは、まさに衝動だったな~、と思います。だからすごくこの本に納得できたんです。

投稿: ひがなお | 2011年12月20日 (火) 12:47

>ゆうさん
ゆうさんも千野先生にお会いしたことがあるんですね。
この本はごく一般的な学習法についての内容なので、もっと突っ込んだ言語学関係の本を読んでみたくなりました。
韓国語そのものの勉強もしなくちゃsweat01ですが…

投稿: ひがなお | 2011年12月20日 (火) 12:52

私もこの本、初級の頃購入して読みました。
当時独学だったので、学習していく上でとても役立った本でした。

ひがなおさんのレビューを読み、もう一度読み返そうかなーと思いました。また気持ちを新たにするために(^^)

投稿: はっち | 2011年12月21日 (水) 08:09

>はっちさん
コメントありがとうございます。
勉強を続けていて疲れたとき、ちょっと中だるみを感じたとき、そういうタイミングで読むと、また気持ちを新たにできると思います。
そういう意味でも、時々このような指南書のたぐいを読んでみるのもいいのでは、と思っています(o^-^o)
お互い、これからも試行錯誤しながら、頑張っていきましょうup

投稿: ひがなお | 2011年12月21日 (水) 18:20

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