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2012年2月 2日 (木)

韃靼の馬

辻原登「韃靼の馬」を読みました。
面白かったです!

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昨年末、新聞紙上で「今年の3冊」を選ぶという例年の企画のなかで、小倉紀蔵先生がこの本を挙げていたので、すごく気になっていてようやく図書館で借りて読みました。
いや~やっぱり面白い!
日本、朝鮮半島、大陸へと展開し、とくに後半は冒険ロマン活劇という感じで、ぜひ映画かドラマにしてほしいです。

江戸時代。
文武に秀で、朝鮮語・漢語を身につけ、神代文字が読める阿比留克人が主人公。
彼は、日本と朝鮮の貿易を取り仕切る対馬藩の若き藩士。

新井白石、雨森芳洲といった実在の人物も重要な役割をはたし、史実とフィクションが見事に融合しています。

第1部は、釜山の倭館に勤務となった克人が、朝鮮通信使における問題解決のため奔走し、通信使に随行して半島から対馬、瀬戸内海、大阪、江戸、と舞台は移っていきます。

朝鮮通信使について詳細な描写に圧倒され、当時の日本にとって、こんなに大変な大がかりな一大イベントだったということが、よくわかりました。
たとえて言うなら、オリンピックと万博とサミットが一度にやってくる、みたいなものでしょうか。
また、朝鮮側の事情や視点も描かれ、興味深いです。

第2部は、朝鮮半島から満州大陸が舞台。
ようやく、「韃靼の馬」が登場します。
韃靼(タタール、今のモンゴル)の伝説の汗血馬を求めて、克人が再び大活躍します。

二重スパイ、朝鮮の陶芸、幕府と藩、当時の外交、密輸組織、誇り高き韃靼のハーン、匪賊の砦の大活劇、…
まあ、盛りだくさんです。

中でも印象に残ったもののひとつは、大阪の米先物取引所の描写。
この時代にすでに先物取引があり、世界に冠たる水準だったとは、寡聞にして知りませんでした。

それから、綱渡り芸人リョンハン。
克人を追って通信使に加わり、克人を思い続け、助ける美しい女形芸人。
私の中では映画「王の男」のイ・ジュンギを勝手にキャスティングしていました(*^.^*)
リョンハンは男だったのか女だったのか、私は結局分からなかったのですが…

そのほかにも、印象的なキャラが続々。
韓ドラにうってつけのお話だと思います。
日本語、韓国語を自在に操る主人公を演じることができる格好いい俳優、誰かいるでしょうか。

芥川賞作家の辻原登さん、さすがです。
この「韃靼の馬」は司馬遼太郎賞に決まったそうです。

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コメント

オモ、面白そう。早速となりの区の図書館に予約しました。と言っても、蔵書が9冊で貸し出し中も4册くらいなので明日には来ます(^^)。
大阪の米問屋のところで「!」となりました。母の先祖が大阪の芋問屋だったそうで。
これはモデルがいたのでしょうか? 
規模が大きそうですから、大河ドラマにどうでしょう?

投稿: ハーちゃん | 2012年2月 2日 (木) 17:52

>ハーちゃんさん
9冊もあるとは、お金持ちの図書館ですね。
 米の先物取引については、上の記事中にリンクを貼りました。参照してください。
幕府が正式に堂島米会所を公認・開設したのは八代将軍吉宗の時代1730年ですが、この物語はその20年近く前。大阪の米商人たちが独自に行っていたようです。商人たちにモデルがいるのかもしれませんね。
 NHK大河ドラマにぜひ!と私も思ったのですが、大河ドラマって必ず実在の歴史的人物が主人公ですよね。
これは主人公は創作ですから無理かな、と…sad

 

投稿: ひがなお | 2012年2月 2日 (木) 21:18

面白そうですね。探して読んでみたいです。
韓国語できる日本人俳優というとスマップの草薙とかいかがでしょうか?
イジュンギとも昔、映画で共演していたし。

投稿: あさこ | 2012年2月 4日 (土) 22:30

>あさこさん
なるほど、草薙がいましたね。日本語ができる韓国人俳優を捜してました…。
イジュンギは「王の男」とカブるような役はもうやらないでしょうね。
ミュージカルなど舞台化という手もあるかも?

投稿: ひがなお | 2012年2月 5日 (日) 11:34

やっと読み終えました。なんと壮大なお話なんでしょう!
主人公がこれほど運命に翻弄されるとは、最初わかりませんでした。
相当の数の歴史的資料をお読みになぢて書かれたのでしょうね。
場面場面が目にくっきりと浮かびました。
ヒトツバダゴが満開の頃に対馬に行ってみたくなりますね。
最後の妹の文章を読んで涙目になりましたよ(^^)。
ご紹介ありがとうございました。

投稿: ハーちゃん | 2012年2月 5日 (日) 23:38

>ハーちゃんさん
やっぱり読むの早いですね~!
そうなんです。まるで映画かドラマを見ているかのような気分になりますよね。
私も最後はうるうるしていまいました(´;ω;`)
通信使や対馬の歴史をもっと知りたいし、行ってみたいです。

投稿: ひがなお | 2012年2月 7日 (火) 17:14

新聞掲載時に毎朝読んでいました。

私の脳内でもリョンハンはジュンギくんでしたよ~^^
最後の切ない感じもよかったですね。

投稿: たま | 2012年2月27日 (月) 17:30

>たまさん
お返事遅くなってすみません。
たまさんちは日経新聞なんですね。
やはり!ジュンギでしたか。私としては第2部でもずっと克人と一緒にいて助けてほしかったです(*^-^)

投稿: ひがなお | 2012年3月 4日 (日) 18:51

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