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2012年2月 8日 (水)

小澤征爾さんと、音楽について話をする

ようやく図書館の予約の順番がきて、読むことができました。
353428

小澤征爾×村上春樹「小澤征爾さんと、音楽について話をする」 新潮社

村上春樹さんのクラシック音楽好きは、小澤征爾さんにいわせると「正気の範囲をはるかに超えている」。
それがよ~くわかりました。

「音楽の専門教育を受けたこともない素人」と自ら言いながら、小澤征爾さん相手に深い深い音楽的な意見も堂々と述べ、古今の演奏を聴きながら音楽について話ができることを、少年のように喜んでいることが感じられます。

へえ~、と思ったのが、オーケストラがしゃべる、というところ。
古楽器演奏のベートーベンのピアノ協奏曲第三番を聴きながら小澤さんが言うには、このオーケストラは子音が出てこない、と。
『たかか』とか『はささ』とか、母音にどういう子音をくけていくか。『たらぁらぁ』といくか『たわぁわぁ…』でいくかで音の表情が変わってくる。音楽的に耳が良いというのは、その子音と母音のコントロールができるということ。

う~む、わかったようなわからないような。
村上さんは初めは「よくわからない」」と言いながら、小澤さんの言葉を聞くと「なるほど」とわかってしまうんですね。

いちばん興味深いのは、やはり何と言っても文章と音楽の関係。
村上春樹の創作と音楽がこんなにも深く関わっていたのか、彼の中では文章と音楽は表裏一体、切っても切れない同一のもののようです。
「音楽的な耳を持っていないと、文章ってうまく書けない」
「文章を書く方法は誰にも教わっていない。音楽から学んだ」
「文章にリズムがないと。前に前にと読み手を送っていく内在的な律動感というか。言葉・センテンス・パラグラフ・の組み合わせ、硬軟・軽重・句読点・トーンの組み合わせによってリズムが出てくる。ポリリズムと言っていい、音楽と同じ」
「ジャズの基本と同じで、しっかりとリズムを作っておいて、そこにコードを載っけて、そこからインプロビゼーションを始める。音楽と同じ要領で文章を書いていく」

また、オーケストラのスコアを読む、ということと翻訳を例に出し、
「翻訳をやっていて、ときどきぜんぜん理解できない部分に突き当たるときもある。そのままにして、時々バックして三日くらい『じっと睨んでいる』と、ページから自然に意味が浮かび上がってくる。スコアを読むというのもそういうところがあるんじゃないかと。」
それに対して小澤さん
「難しいスコアになるとそういうことって多い。音楽の場合、記される記号が簡単なぶん、知識が必要だし、理解力が必要。」

それから、小澤さんが森進一や藤圭子をボストン時代によく聞いた、というのは意外なエピソードでした。
でも宇多田ヒカルは知らない、ていうのも小澤さんらしいというか…。
そして、演歌は日本独特のものではなく、基本的に西洋音楽からきているし、五線譜で全部説明できる、て言い切っているのが新鮮に感じました。

そのほかにも、お二人がとても正直に話しているのがすがすがしいです。

この対談集全体にも、村上春樹さんと小澤征爾さん、二人のしっかりしたリズムの土台のうえに、楽しく即興演奏している様子が感じられるような気がします。

この頃聞いていなかったクラシックのCDを引っ張り出し、お気に入りのモーツアルトのクラリネット五重奏曲を聴きながら・・・。

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コメント

ああ、やっぱりこれも面白そう。
こちらはまだ来ません(^^;)。
オーケストラに子音とか母音とかがある?無い? わかりませ〜ん。
ひがなおさんは楽器とかなさいますか?

投稿: ハーちゃん | 2012年2月 8日 (水) 21:29

>ハーちゃんさん
私は学生時代マンドリンクラブに属しておりましたnote
長いブランクのあと、現在また地元の小さなサークルでぼちぼちと合奏を楽しんでいます。
音楽のある生活ってやはりいいですね(o^-^o)

投稿: ひがなお | 2012年2月 9日 (木) 21:48

えっ、私も若いころ独学でマンドリンをちょっとやっていましたよ(^^)。
ギター、バイオリンをまず独学でやっていて、父がギター、マンドリンも弾けたので、その影響でしょうか。
ひがなおさんは、今も楽しんでいらしっゃって良いですね。
それでは、お二人のお話、感覚的に理解可能かとお見受けしますが(^^)。
私はどうでしょうか? 早く来ないかな。

投稿: ハーちゃん | 2012年2月10日 (金) 06:43

>ハーちゃんさん
ハーちゃんさんもマンドリンやってたことあるんですか!heart01
ギターやバイオリンまで独学とは、よほどの音楽好きとお見受けしました。
私はクラシックは好きですが、指揮者やソリスト、オーケストラうんぬんと言えるほど演奏の違いもよくわかりませんdespair
お二人のお話はわかるような気がする部分もありますが、実感としてはいまいちわからない、というのが正直なところですbearing

投稿: ひがなお | 2012年2月10日 (金) 23:50

私もこの本を予約しました。
早く読みたいと思います。

投稿: かげまる | 2012年2月11日 (土) 18:19

>かげまるさん
我々がやっていた音楽とはレベルが違いすぎますが、ある一時、五線譜を睨んで過ごした時期を思い出します(*v.v)

投稿: ひがなお | 2012年2月12日 (日) 13:38

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