絵本の会から多読の会へ
「韓国語絵本の会」は「多読の会」への第一歩として始めました。
私とチングの教室は3クラス、4~6人くらいずつですが、熱心に勉強されてハン検準2級に合格して会話もかなりできる方もいれば、一方でお休みがちで基礎段階で足踏みしている方もいらっしゃいます。
いわゆるレベルの差があっても一緒に楽しめる方法はないものか、とずっと悩んでいたのですが、その一つに「多読」という考え方があります。→NPO多言語多読
一通りの文法と基本語彙を学習したら、いちばん望ましいのは現地で生活して大量のインプット、アウトプットを通じて身に付けることなのは、いうまでもありません。
しかし実際それが可能な人はまれです。
日本にいながら上達するには、その代替手段のインプットとして、たくさん本を読み、耳からもたくさん聴く。
つまり「多読・多聴」。
大量のインプットがないとその言語なりのスタイルや語感を感じ取ることはできません。
しかし韓国語の本やネット記事などナマの韓国語に触れましょう、とオススメしても、実践される方は少ないのが実情。
実際、初級文法を一通り終えても、一般の雑誌や本、記事は知らない単語や表現が多すぎてハードルが高いです。
語彙レベルを調節してリライトしたやさしい読み物がたくさんある英語と違って、その他の言語では学習者が読むのに適した本を見つけるのは困難です。
子ども向けの絵本はたしかに文字が少なく見た目はやさしいのですが、いわゆる基本語彙にはない擬声語擬態語や子どもの口調が多く、初級段階の学習者にはかえって難しくわからないことも多いのです。
いつまでもテキストだけでは面白くないし、もっと生きた言葉として気軽に触れる素材はないものか、とずっと悩んでいました。
そんなとき、HANA第4号で「韓国語多読の会」を知りました。
初級レベルから一緒に多読を楽しめる、という話を聞いて、そんなことが可能なのか、と初めはびっくりしました。
主催者の方や参加者の方のブログ等も拝見して、楽しんでおられる様子に感銘を受け、もっと詳しく学ぼうとこの本を読みました。
ヘバラギさんに教えていただいた「日本語教師のための多読授業入門」。
この本の中には日本語多読の成功例や実践方法、大事なポイント、体験者の声などがわかりやすく書かれ、とても参考になりました。
特に参考になったのが、ひらがなが何とか読めて簡単なあいさつができる程度の日本語力でも「読む」ことは可能、という部分です。
絵がわかりやすく1ページに1文ないし1語、同じ表現がくり返し使われている絵本は多読に向いている、と具体的な実例がありました。
絵と文字と意味が有機的に結びついて自然にインプットされ、学習者の口から発せられるようになる、と。
なるほど、絵本はかえって難しいかと思っていましたが、内容をよく見て選べば初級段階の多読に向いている、とわかりました。
そこで思い切って韓国語の絵本をたくさん集めて多読の会をやりたい、と考えました。
そこにタイミング良く、ヘバラギさんが、ご自分の教室の多読の会のために用意された大量の絵本を、当分使わないから、とご厚意で貸してくださることに(感涙)
いろいろ考えた末、本格的な「多読」に入る前の準備段階として「絵本の会」とすることにしました。
「絵本の会」参加者の方々が、楽しみながら自然に「多読の会」に移行することを願って、適切な読み物を探していきたいと思っています。
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