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2016年8月 5日 (金)

「日本語人の脳」

タイトルに惹かれて読んでみました。

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「日本語人の脳:理性・感性・情動、時間と大地の科学」角田忠信 言叢社


耳鼻科医である著者の、左右脳の非対称性と日本語人の特質、脳センサーについての研究の集大成。

一般に言語は左脳で処理され、音楽や機械音などは右脳が優位になる、と言われていて、これはかなり一般的な認識ですね。

ところが、同じ音を左右の耳に異なったリズムで聞かせる「ツノダテスト」を繰り返した結果、ごく短い母音だけの音声を、日本語を母語とする人は左脳で認識し、西欧語を母語とする人は右脳で認識する、とわかったそうです。

このように母音が左脳優位となるのは日本語とポリネシア語だけで、それ以外は母音が右脳優位の非言語として扱われる。

さらに、泣き声や笑い声、ハミング、動物の鳴き声も、日本語人は左脳、西欧語人は右脳が優位となる。

これは5歳から9歳くらいまでの成長期に母語として身に付けた言語によって決定され、人種や遺伝とは無関係。

9歳以後に学習した言語の影響は受けない。


第1部から第3部は論文を集めたもので、正直読みにくいところが多かったです。

第4部の対談は読みやすくてわかりやすかったですが、気になるところも多いです。

日本語人は虫の音や小川のせせらぎも言語と同じ左脳優位、ここにロゴス(言語)とパトス(情緒)と自然が混然一体となっている日本文化の特徴が現れている。

母音の多い日本語という言語の「音」、聴覚認識が日本文化をつくった、ともいえる。

と聞くと、ほほぅ~なるほど~、と思いました。

が、対談の中で著者である角田氏が
「母音を聴くのは日本人では左脳で、西欧人では右脳だと、実験で明らかになった」と述べると、相手は

「つまり日本人以外の脳は、子音は左に、母音は右に、と分かれて処理される。ガイジンにとって母音は非言語音になる・・・」
と言っています。

この、『西欧人』=『日本人以外、ガイジン』となってしまうところに、アレ?と思いました。

世界には日本人と西欧人しかいないかのような・・・

世界には何千という言語があり、西欧語はその中のほんの一部。

インド・ヨーロッパ語以外に系統の異なるアフリカ大陸の諸語、ユーラシア大陸の諸語など、数限りない言語が存在するのに、なぜこうなってしまうのか。


さらに対談相手は
「擬声語、擬態語の多様さ。ザアザア、シトシト、ポトポト、ニョキニョキ・・・・・・こういう表現は本当に日本語だけのものですよ」

「日本語は母音だけ組み合わせの『有意語』が多い。母音一つだけの『胃』とか『絵』とかもある。こんな言語はほかにありません」

・・・韓国語には日本語以上に擬音語・擬態語が多いですよね。
쏴쏴、솔솔、보슬보슬、똑똑、비죽비죽・・・・・・

母音だけの日常的な有意語もありますね。
이(二、歯、これ、人)、 애=아이 (子ども)、 오(五)、 오이 (きゅうり)・・・・・・


第1~3部の様々な実験の中には、中国人も被験者として各種楽器の音を聴かせるなど、アジア圏を無視しているわけではないのですが、なんだかなあ~、という感じです。


でも、母音が強い日本語の特徴が、脳の聴覚認識機能をかたちづくっているというのは、うなづける気がします。

それと自然の音の認識、情動とわかちがたく結びついている、ということを実験で証明している点で面白かったです。

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