私は十数年前からアジア保健研修所(AHI)の賛助会員になっています。

AHIは、「自立のための分かち合い 人から人へ」をモットーに、アジアの草の根の人々の健康を守るために活動している保健および開発ワーカーの育成を目的とする、国際協力団体、いわゆるNGO。
1980年、愛知県日進市に設立され、着実に活動しているNGOだと思い、ずっと支援しています。
これまでアジア各国のワーカー6000人以上が研修に参加し、それぞれの国・地域で研修の成果を活かし活動しています。
そのAHIから、先日、こんなものをいただきました。

「ひとつかみサポーター」に申し込んだので、その受理の旨と会員証ステッカーが送られてきたのです。
AHIらしい、手作り感あふれるステッカーです。
「ひとつかみサポーター」とは…
アジアの女性が行っているお米貯金から名前を得ています。女性たちは、毎日ひとつかみのお米を貯めることで、経済的に、また精神的に自立することを目指しています。
そこで、ひとつかみ=毎月1000円からの継続的な支援で、アジアの人々の自立をささえよう、というものです。
11月に「バングラデシュの女性のお話の集い ~針と糸と、ひとつかみの米に夢を託して」に参加しました。
2007年にAHIの研修を受けたバングラデシュのNGOのスタッフであるマゼットさんと、彼らが支援している女性グループのリーダーであるサビナさんのお話です。

生まれて初めてパスポートを取り、日本にやって来てくれたサビナさん。農村に生まれ育ち、首都ダッカにも今回初めて行ったそうです。
バングラデシュの女性たちは、伝統的にその日の家族のごはんを炊くとき、「ひとつかみ」とりわけておく習慣がありました。「ひとつかみの米」貯金です。
これを売ってお金にかえるのですが、貧しい女性たちにとって、自分が裁量を持つ資源がない中で、唯一といえる蓄えを作る方法でした。
NGOは、この習慣を活用して、共同貯金を作り、小口金融プログラム(マイクロクレジット)へ展開させようとしています。
サビナさんの所属する女性グループは、「ひとつかみの米」共同貯金に加え、NGOの協力を得ながら、伝統的な刺し子で手芸品(ノクシカタといいます)作りを通して、現金収入を得ることができるように支援しています。
サビナさんはその刺繍製品で収入を得ながら、シングルマザーとして子供を育てています。
日々小さな営みを積み重ねながら、自分の手で未来を作りだそうしています。
集いでは、サビナさんが持参した刺し子の作品を誇らしげに見せてくれました。
最初にNGO職員が村にやって来て、グループ作りの話をしたときは、詐欺ではないかと警戒した、とも。
サビナさんは母語のベンガル語しか解さないので、ベンガル語→英語→日本語 という二重通訳でした。
なので、質問と答えに時間がかかり、もどかしい面もありましたが、緊張している様子と、何とか伝えたい、という思いが伝わるような気がしました。
バングラデシュのマイクロクレジットといえば、グラミン銀行と総裁ユヌス氏が、2006年にノーベル平和賞を受賞したのが有名ですが、グラミンだけで全国の貧困層に行き届くはずがありません。
サビナさんのように、社会の下層に置かれた女性たちが、自ら助け合い、自立していくことができるように、「ひとつかみ」のお手伝いができれば、と思います。
そして、日本に住む私も、彼ら彼女らから学び、自分の手でよりよい地域社会を作る一員でありたいと思います。
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