『82年生まれ、キム・ジヨン』
韓国語の原書は昨年入手して読みました。
来週19日には東京新宿の紀伊國屋書店で著者チョ・ナムジュさんトークイベントがあるそうです。
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韓国文学、韓国の本の魅力を紹介する読書ガイド『ちぇっく CHECK 』の第2号が刊行されました。
韓国の本について情報を発信するK-BOOK振興会が発行しています。
どれも興味深いです。
とくに作家ファン・ジョンウンさんのインタビュー、韓国の書店紹介が印象に残りました。
また韓国文学のみならず、日本翻訳大賞の二次選考対象作18作品の紹介もあり、視野を広げてくれます。
ブックカタログを見ていると、あれもこれも読んでみたい!と読書欲をそそられます。
近刊案内もあり、とてもよくまとまったブックガイドです。
無料です!
配布している書店は コチラ
今回どっさり送っていただいたので、私とリアルで会える方にはお分けいたします。
ご希望の方はコメントかメール等ご連絡ください。
次回の絵本多読の会にも持って行きますね。
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今年の春日本語版が出版されたこの本を読みました。
満州夫人 / 李吉隆著 舘野晳監訳 五十嵐真希訳 かんよう出版
帯にある文。
『朝鮮半島の南端、古今島の医師李根五と、その長男満雨、満雨と結婚した満州族の張永美。時代の荒波に翻弄される彼らの壮絶な物語』
韓国PEN文学賞受賞作品(2016年度小説部門)だそうです。
1945年8月から1961年4月の朝鮮半島が舞台。
日本の植民地支配末期から解放、様々な政治闘争、南北分断、朝鮮戦争、休戦、学生運動など、実際の事件や動乱を背景に、実在の歴史的人物も登場する小説です。
タイトルの「満州夫人」とは、ヒロインの張永美の別名。
満州から嫁いで来た美しい夫人ということで「満州夫人」と呼ばれ、夫と生き別れになってもたくましく生き抜き、剣術の達人で男たちを負かしたり、実業家としても成功したり、複数の男性とも関係を持ったり、まあ、波瀾万丈です。
「主丹剣」という朝鮮王朝末期に遡るアイテムも登場したり、家族が一人二人と戦乱の中死んでいったり、とまさに韓国大河ドラマといった感じ。
登場人物たちの心情と行動を通して韓国現代史を感じられるような気がします。
ヒロインを始め李家の人々は自分の考えをはっきり表明して潔く行動します。
体制を越えて夫について行く、学生でも先頭に立って戦闘に加わる、議員選挙に立候補する、罪に問われ法廷に立ったときも自己の主張を堂々と述べる。
始めのほうは人名や地名が分かりにくく、入り込むまで時間がかかったのですが、後半は一気に読んでしまいました。
これはまだ上巻のみの翻訳で、最後はまさに「はてさてどうなるか?!次回をお楽しみに!」というところで終わっています。
翻訳者の五十嵐さんによると下巻の翻訳も始めているとのこと、楽しみに待ちたいと思います。
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K-BOOK振興会が刊行した『ちぇっく CHECK』という小冊子を読みました。
日本語に翻訳されている韓国文学や韓国の本を紹介する読書ガイドです。
K-BOOK振興会のページ → コチラ
ハン・ガンのインタビュー、日本の著名作家や翻訳家、編集者のブックレビューなど、韓国の本の魅力を伝えようという静かで芯のある熱を感じます。
主に2000年以降に翻訳された60冊のブックカタログもあり、うーん、読んでみたい!とワクワクする本たちがいっぱいです。
60冊のうち12冊が詩集というのも、韓国文学における詩の重要性や、韓国の人々がいかに詩を愛してきたかがわかるような気がします。
また絵本も8冊紹介されていて、そのうち
『ソリちゃんのチュソク』
『あめがふるひに・・・』
『ふわふわくもパン』
『天女銭湯』
『よじはん よじはん』
5冊は韓国語版が絵本多読の会の蔵書にあります!
やはりどれも人気の絵本です。
韓国語版と日本語版を読み比べてみる楽しみがありますね。
韓国ドラマやK-POPは日本に定着した感がありますが、韓国の本、とくに小説や詩は読んだことがないという方も多いことと思います。
韓国では日本の本の翻訳は山ほどありベストセラーも多いのですから、日本で韓国の本ももっと読まれるようになってほしいです。
この『ちぇっく CHECK』は無料で配布しているとのこと。今回K-BOOK振興会から直接たくさん送っていただきました。
次回の韓国語絵本多読の会で、関心ある方にお分けしたいと思います。
7月16日(日)12:15~14:45 愛知県刈谷市総合文化センター 501講座室
お問い合わせ : higanao99@yahoo.co.jp
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タイトルに惹かれて読んでみました。
「日本語人の脳:理性・感性・情動、時間と大地の科学」角田忠信 言叢社
耳鼻科医である著者の、左右脳の非対称性と日本語人の特質、脳センサーについての研究の集大成。
一般に言語は左脳で処理され、音楽や機械音などは右脳が優位になる、と言われていて、これはかなり一般的な認識ですね。
ところが、同じ音を左右の耳に異なったリズムで聞かせる「ツノダテスト」を繰り返した結果、ごく短い母音だけの音声を、日本語を母語とする人は左脳で認識し、西欧語を母語とする人は右脳で認識する、とわかったそうです。
このように母音が左脳優位となるのは日本語とポリネシア語だけで、それ以外は母音が右脳優位の非言語として扱われる。
さらに、泣き声や笑い声、ハミング、動物の鳴き声も、日本語人は左脳、西欧語人は右脳が優位となる。
これは5歳から9歳くらいまでの成長期に母語として身に付けた言語によって決定され、人種や遺伝とは無関係。
9歳以後に学習した言語の影響は受けない。
第1部から第3部は論文を集めたもので、正直読みにくいところが多かったです。
第4部の対談は読みやすくてわかりやすかったですが、気になるところも多いです。
日本語人は虫の音や小川のせせらぎも言語と同じ左脳優位、ここにロゴス(言語)とパトス(情緒)と自然が混然一体となっている日本文化の特徴が現れている。
母音の多い日本語という言語の「音」、聴覚認識が日本文化をつくった、ともいえる。
と聞くと、ほほぅ~なるほど~、と思いました。
が、対談の中で著者である角田氏が
「母音を聴くのは日本人では左脳で、西欧人では右脳だと、実験で明らかになった」と述べると、相手は
「つまり日本人以外の脳は、子音は左に、母音は右に、と分かれて処理される。ガイジンにとって母音は非言語音になる・・・」
と言っています。
この、『西欧人』=『日本人以外、ガイジン』となってしまうところに、アレ?と思いました。
世界には日本人と西欧人しかいないかのような・・・
世界には何千という言語があり、西欧語はその中のほんの一部。
インド・ヨーロッパ語以外に系統の異なるアフリカ大陸の諸語、ユーラシア大陸の諸語など、数限りない言語が存在するのに、なぜこうなってしまうのか。
さらに対談相手は
「擬声語、擬態語の多様さ。ザアザア、シトシト、ポトポト、ニョキニョキ・・・・・・こういう表現は本当に日本語だけのものですよ」
「日本語は母音だけ組み合わせの『有意語』が多い。母音一つだけの『胃』とか『絵』とかもある。こんな言語はほかにありません」
・・・韓国語には日本語以上に擬音語・擬態語が多いですよね。
쏴쏴、솔솔、보슬보슬、똑똑、비죽비죽・・・・・・
母音だけの日常的な有意語もありますね。
이(二、歯、これ、人)、 애=아이 (子ども)、 오(五)、 오이 (きゅうり)・・・・・・
第1~3部の様々な実験の中には、中国人も被験者として各種楽器の音を聴かせるなど、アジア圏を無視しているわけではないのですが、なんだかなあ~、という感じです。
でも、母音が強い日本語の特徴が、脳の聴覚認識機能をかたちづくっているというのは、うなづける気がします。
それと自然の音の認識、情動とわかちがたく結びついている、ということを実験で証明している点で面白かったです。
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朝早く起きられたときは、この本の詩を一編ずつ書き写しています。
김용택의 꼭 한번 필사하고 싶은 시
'어쩌면 별들이 너의 슬픔을 가져갈지도 몰라'
韓国の詩人キム・ヨンテク(金龍澤)が選んだ「いちどは筆写したい詩」101編を書き写すライティングブック。
クオンから取り寄せで買いました。
左ページに様々な詩、右ページは筆写スペースです。
すべてのページが異なるデザインになっていて素敵です。
もちろん韓国の詩が多いですが、中にはポール・ヴァレリーやプルースト、プレヴェールなど欧米の詩人や、石川啄木など日本の詩人の詩の韓国語訳もあります。
詩の内容やその日の気分に合わせてペンを選んで書き写します。
朝、この本をぱらぱらめくって目についた詩を書き写していると、気持ちが落ち着きます。
もちろん意味がよくわからないところもありますが、何となく味わっている気分になれます。
たくさん書きたくなるときもありますが、一日にひとつ、と決めて朝の楽しみにしています。
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韓国語を学んでいると、母語である日本語を再発見することが多いです。
それが韓国語学習の大きな楽しみでもあります。
この本もとっても面白かったです。
『日本語という外国語』 荒川洋平 講談社現代新書
20 年以上、外国人に日本語を教えてきた日本語教師の著者が、その経験から「外国語としての日本語」の魅力や面白さを語っています。
「日本語は世界の中で独特なことば」
「敬語があるから難しい」
「漢字・ひらがな・カタカナを使い分けるのはたいへん」
こんなふうに思い込んでいる日本人は多いですが、日本語を外から眺めてみると、そうでもないということに気づかせてくれます。
本書の中で、私が常日ごろ知りたかったことに2つ、明解に答えてくれました。
1.母音が5つというのは、母音が3つしかないアラビア語に続いて世界で2番目の少なさ!
アラビア語の母音が3つというのは聞いたことあったので、そのほかに日本語より母音が少ない言語があるのか、ないのか、ずっと疑問でした。
専門家が世界で2番目、と言い切ってくれたのですっきりしました。
日本語は発音のうえではやさしい言語ですよね。
しかし、我々日本語ネイティブは5つしか母音を持たないため、外国語の習得、特に発音にとんでもない困難があるんですね・・・うう・・・o(;△;)o
2.ひらがな・カタカナ・漢字・アルファベットなど複数の表記システムを使い、かつそれらを混ぜて書く、世界でただ一つの言語である。
これも世界でただ一つ、とはっきりしました。
きれい、キレイ、綺麗・・・・音は同じなのに印象は微妙に違います。
こんなふうに表記で語感やニュアンスの違いがある言語を母語としているので、音より表記=文字優先ともいえる言語感覚になってしまっているのかな、と思います。
私だけでしょうか・・・?
そのほかにも、「日本語の音はどう聞こえるか」の章がとても印象深いです。
「ピーナッツせんべい」という単語は、いくつの音の単位でできているか?
という問いから、日本語のリズム、拍、長音節と短音節、日本語らしい聞こえ方について展開し、なるほど~!と納得しました。
韓国語を韓国語らしく話すうえでも、当然リズムと拍がとっても重要です。
ひとつひとつの母音や子音、パッチムなどが完ぺきでも、それだけでは韓国語らしく聞こえません。
我々の場合どうしても日本語の干渉があります。
なので、日本語のリズムと拍の特徴について客観的によく知っておくと、韓国語をそれらしく発音するのに大いに役立ちます。
とくに長音節と短音節についてはっきり認識しておくと、パッチムや連音化のリズムをつかみやすいのでは?
ところで「ピーナッツせんべい」は
① 9拍
② 5拍
③ 4拍
どれもアリだそうです(*^-^)
どういうこと?と思う方は、ぜひ本書をおすすめします。
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これも少し前に新聞の書評で見て面白そうだったので、図書館で借りました。
「法廷通訳人
~裁判所で日本語と韓国語のあいだを行き来する~」/丁海玉(チョン・ヘオク)
表紙の見返しにあるリード文を紹介します。
在日韓国人二世の著者は、二十数年にわたって韓国語の法廷通訳を努めてきた。被告人が話す言葉(韓国語)を、また裁判官、弁護人などの言葉(日本語)を通訳する。人が裁かれる法廷の場で、人生を左右する言葉をやりとりし、時には人間の苦い闇がえぐり出され、時には人生のきしむ悲痛な音を聞く。法廷通訳の難しさ、裁判員裁判への移行、そして日韓の言語と文化の違いから生じるさまざまな出来事を描く、法廷通訳人が見た法廷ドキュメント。
面白そうですよね!
はい、面白かったです!
とくに裁判員裁判のところは、臨場感があり裁判ドラマを見ているようでした。
守秘義務があるので具体的で細かいところは描写できないにもかかわらず、ぎりぎりのところまで表現しよう、という気持ちが感じられます。
ふたつの言葉のあいだで、言葉の谷間に落ちそうになりながら、ときに途方に暮れ揺れる気持ちが伝わってきます。
「完ぺきで正しい訳語、的確な言葉を追うほどに、ニュアンスや音のズレが深い言葉の谷間に逃げてしまいそうな気がする」
著者はかなり文章修業をされている方とお見受けしました。
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新聞の書評で見て面白そうだったので図書館に予約して、1か月ほど待ってようやく来ました。
「日本人と漢字」笹原宏之/集英社インターナショナル〈知のトレッキング叢書〉
第1章 変化し続ける漢字
第2章 中国での漢字の誕生と変遷
第3章 日本の漢字の変化と多様性
第4章 日本人による漢字への思い入れと手入れ
面白いです!
もう面白いところだらけなんですが、とにかく筆者は漢字はずっと変化してきて今も変化し続けているということを強調します。
だから「正しい」も「間違い」もない。
辞書でわかることは、漢字に関する複雑な事実のうちの一部に過ぎない。
はじめに「エビ」は海老、蝦、蛯・・・など時代と地域によって変遷することを、わかりやすく書いています。
「蛯」をエビと読めたのは女子大生が多かった、それはエビちゃんこと蛯原友里さんの影響、とか、
ほかにもたくさんジャニーズアイドルなど芸能人の名前を挙げて軽妙にわかりやすく書いています。
特におもしろいと思ったのは、幽霊漢字。
JIS漢字として登録されているのに現実世界には存在しない漢字があると初めて知りました。
日本の漢字が複雑ゆえ、まったく人間的なエラーから生まれてしまった漢字(ふうの文字)が十字以上あるとか。
それから筆者は『当て字・当て読み漢字表現辞典』を編纂したくらい、現代の当て字や特定集団の中だけで通じる位相文字についても詳しい。
もう今は漫画やアニメ、ネットの中でありとあらゆる当て字・当て読みが氾濫しています。
「悲観的現実主義者」と書いて「おとな」と読む、みたいな。
それを面白がってフラットな研究者の視点で観察している姿勢が、好ましく思えます。
この本は講演をもとにしているらしく、平易に語りかけるような口調でとても読みやすいです。
この著者のほかの本も読んでみたくなりました。
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この本を読みました。
「ボクの韓国現代史1959-2014」 ユ・シミン:著/萩原恵美:訳
著者のユ・シミン(柳時敏)は盧武鉉政権で保健福祉相を努め、今は政界を引退してライターとして活躍している人物。
この本は著者が生まれた1959年から2014年までの韓国現代史55年と自分史を重ね合わせて描いています。
これまでユ・シミンの書いた本は20冊ほど、この本は韓国で20万部のベストセラー、ということなので結構売れっ子ライターのようです。
でも日本語訳が出るのはこれが初めて。
55年のあいだを経済発展、民主化、社会文化、南北関係、それぞれのテーマの章ごとに著者の視点で行ったり来たりしながら語っています。
なるほど~そういうことか~と思える面白い部分がたくさんありました。
扉の文句
――同時代を息を切らしつつ駆け足で生きてきたすべての友へ――
著者と私はほぼ同年代。
80年代前半の学生時代、半島で起こっていたことを当時は全く知りませんでした。
そういう時代だったといえばそれまでですが、今になるとどうして隣国に無関心でいられたのか、と思います。
同時代を生きているユ・シミンが
「冷静な観察者ではなく苦悩する当事者として僕らの世代の生きた歴史を振り返った」本書。
政治の世界に身を置いたこともある当事者でありながら、いわゆるリベラルで明るい人なんだろうな、と感じます。
翻訳者の萩原恵美さんは、現代語学塾の翻訳通信講座でお世話になった先生です。
訳注がとても丁寧で理解を助けてくれます。
さすがです。
韓国現代史については日本で書かれたものがいくつかありますが、当事者が書いた本書もぜひ一読をおすすめします。
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